【実例|富塚町の家】高低差のある土地に建つ、珈琲の香る家【実例|富塚町の家】高低差のある土地に建つ、珈琲の香る家

「富塚町の家」は、ご夫婦と小さなお子さま、3人家族のための住まいです。
土地探しからご一緒させていただきました。
閑静な住宅街に位置し、北東道路に面したこの敷地。
南側よりも50cmほど低くなっている高低差のある台形の土地です。
どこを見て、どんなふうに暮らすのが心地よいか、
採光・風通し・視線の抜けに配慮しながら、設計させていただきました。
敷地南側には、これから別の建物が建つ予定の土地がありますが、
その影響を受けずに安心して暮らせるよう、建物配置や窓の位置を工夫しています。
また、「富塚町の家」は、長期優良住宅の認定を取得し、補助金制度を活用しました。
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敷地面積:182.26㎡(55坪)
1階床面積:48.02㎡(14.50坪)
2階床面積:33.12㎡(10.00坪)
延床面積:81.14㎡(24.50坪)
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長期優良住宅仕様(耐震等級3・断熱等級5)
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設計/えん建築舎
施工/えん建築舎
外構/えん造園舎


雑木の庭や木塀に囲まれた、やさしい印象の佇まいです。

敷地内には、延床面積24.5坪の建物と、駐車場2台分、そして小さな自然を感じられる庭。
駐車場から玄関に向かうアプローチにも樹木を植え、日々の出入りの中でも自然を身近に感じられます。



室内へ進むと、木と自然素材の上質な空間が広がっています。

建物はコンパクトながら、広がりを感じられるLDKとスムーズな家事動線で、
心地よい暮らしを支えています。

キッチンから水回りスペースへつながる間取り。
手前右手の壁は、マグネットウォールにしています。
地域のお知らせや学校からのお便りなど、大切な書類を手軽に貼れて、壁を傷めずすっきり整理できます。
いつでも見やすい場所にまとめておけるので、とても便利です。



キッチンや作業スペース、洗面化粧台は、木の家に調和するよう家具職人さんに製作を依頼。
手仕事の美しさと温もりを感じられます。


リビングの一角には、珈琲豆の焙煎が楽しめるスペースを設けています。
焙煎機の上に必要な換気扇には目隠しをして、意匠性を高めています。


玄関横の「のれん」をくぐると、3帖ほどの土間収納があります。
ご主人はDIYが得意な方で、これから棚などを造りながら、少しずつ空間を育てていくご予定です。
将来的には、この場所を小さなお店として使うことも想定されていて、暮らしの可能性が広がる空間になっています。

リビングからウッドデッキを介して、芝生と雑木の庭へとつながります。
アオダモやモミジなどの雑木と、やわらかに視線を遮る板塀が、
家族がゆったり過ごせる安心感のある空間をつくっています。

キッチンから玄関方向を見たところ。

2階の主寝室です。2階の一番奥にあるこの部屋には、あえて扉をつけていません。
2階にあるエアコンは、この1台だけで、扉のない通り口やオープンな梁上を通して、2階の空間全体へ冷気・暖気がまわります。

視線の抜ける位置に窓を設けました。

三帖の小さな子ども部屋。
住まいの中の「くつろぎの場所」は、家族が集まるリビングとダイニング。
子ども部屋をあえてコンパクトにすることで、住まいに心地よいリズムが生まれます。


建物を北側から見たところ。
外壁の一部に木を取り入れることで、落ち着きのある土壁にあたたかみが加わり、素材のコントラストが引き立つ、やさしく印象的な外観に仕上がっています。

撮影の頃は、ちょうどブルーベリーの収穫時期。
お子さまがパッと手を伸ばして、うれしそうに実を食べていました。
「どんどん食べてしまって、ほとんど残ってなくて」と、ご夫妻が楽しいエピソードを教えてくださいました。


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お施主様との出会いは、以前の完成見学会でした。
「子どもが小学校に上がる前に家を建てたい」
そんなご夫婦の想いから、家づくりの計画が動き出しました。
「家族の時間を大切にしたい」
「趣味のスペースを持ちたい」
そんなご希望を伺いながら、これまでの住まいに近く、利便性の高い佐鳴湖周辺エリアで土地探しをスタート。
最終的に選ばれたのが、形状や高低差に特徴のある「富塚」の土地でした。
家づくりには、お施主様ご自身も深く関わってくださいました。
屋根の「野地板」の塗装を行っていただいたり、
ショールームを何度も訪れて設備を吟味されたり、
植える樹木の種類や枝ぶりを現地で確認されたり。
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家づくりは、ひとつひとつを積み重ねて形にしていくもの。
その過程を一緒に楽しんでくださったことに、心から感謝しています。